社会保険労務士法人ティグレのお役立ちコラム

採用内定について <トラブル例示と注意点>   [2013.02.12]

新しい年度を目前に、新卒者を迎える企業ではその受け入れ準備が進められています。

一方で、景気後退や天災等の影響から予定通りの雇用ができず、内定者とのトラブルに発展するケースもあります。

本稿では、採用内定の法律的効果、並びに内定者への対応に関する注意点について取り上げます。


【内定とは何か】

内定とは、「(主に新規学卒者と企業との間に)解約権を留保した始期付きの労働契約が成立した状態」を言います。

実際に労務の提供はなされていないものの、労働契約成立とみなされる点で労働基準法が適用されます。

つまり、内定者に対する内定取り消しや入社時期延期、賃金条件の変更等の行為には労基法上の制限がかかるため、既存の社員に準じた注意を払う必要があります。


【トラブル例示と注意点】

では次に、内定を巡る代表的なトラブルと、その合理性の判断基準・注意点を具体的に取り上げます。

<1、内定取り消し>
内定取り消しをする主な理由としては、①経営不振や人員計画の変更などの会社都合②内定者の社員としての適格性の二つが主なものですが、それぞれの合理性を判断する基準は以下のとおりです。

《①会社都合の場合の判断基準》

ⅰ)整理解雇の4要件を満たしているか
・ 人員削減の経済的必要性がある
・ 解雇(内定取消)回避努力の程度が相当である
・ 対象者選定に合理性がある
・ 説明責任の遂行程度が相当である

ⅱ)あらかじめ内定取消事由として経済的理由を約束しているか

ⅲ)30日以上の予告期間を設けているか

《②内定者の適格性を見る場合の判断基準》
ⅰ)経歴詐称や過去の犯罪歴の程度が社員としての適格性を欠くか
ⅱ)卒業できないなど、労務の提供が不可能となるか
ⅲ)あらかじめ内定取消事由として上記のような理由を約束しているか

【2、雇用開始時期の延期】
人員に余剰が生じたなど会社の都合で雇用開始時期の延期をする場合、当該延期期間は会社都合による休業になります。

そのため、待機期間に対する休業手当の支払いが必要となることがあります。

休業手当は平均賃金の6割以上である必要があり、賃金支払い実績のない内定者の場合は、予め契約した賃金等をもとに計算することになります。

【近年さらなる注意が必要な事項】
採用前の事前研修や内定式等の場では、会社業績や人員計画・営業戦略・研修内容・新商品情報などの企業機密情報を取り扱う可能性があります。

近年ではソーシャルメディアの普及により、内定者が悪気なくそれらを漏洩してしまうリスクも無視できません。

その点で、内定者に対しても秘密保持契約書や念書を書いてもらうことも検討すべきと言えます。

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