社会保険労務士法人ティグレのお役立ちコラム

労務管理

使用人兼務役員の年次有給休暇の取扱について   [ 2019.07.17 ]

法人の役員の場合、会社と役員の関係性は雇用関係ではなく、委任契約であるため、役員に対しては労働基準法の適用はありません。

有給休暇制度は労働基準法上の制度であるため、役員の場合には、有給休暇が付与されないのが原則です。

ただし、取締役営業部長や取締役工場長などといったような使用人兼務役員の場合ですと、雇用契約を結んでいる場合や雇用保険に加入している場合もあります。

このような使用人兼務役員の場合、有給休暇の付与する必要性が生じる場合もあります。

昭和23年3月17日基発461号で以下のような通達が出されております。

「法人の重役で、業務執行権又は代表権を持たない者が、工場長、部長の職にあって賃金を受ける場合は、 その限りにおいて法(労働基準法)第9条に規定する労働者である。」

使用人兼務役員であっても、その実態が労働者性の要素が強い場合、労働者とみなす、ということになります。

労働者であると認められますと、必然的に労働基準法の適用対象となりますので、有給休暇の付与が必要となります。

では、労働者性の判断基準については、どのように考えればいいでしょうか?

この点、残念ながら使用人兼務役員の有給休暇の取り扱いについて労働基準法上明文化はされておりません。

あくまでも労働の実態に基づきケースバイケースでの対応になります。

試用期間の延長はできるか   [ 2019.07.17 ]

多くの企業で採用の際、試用期間を設けているかと思います。期間の長さについて法的な制限等は特にありませんが、一般的には1ヶ月~6ヶ月程度として設けられており、最長でも1年限度と解釈されております。

試用期間それ自体は企業が独自に設定するものと考えられますが、仮に採用した人材の適正が判断しづらい場合、企業は試用期間を延長できるのでしょうか?

結論としましては、試用期間の延長は違法ではないが非常にハードルが高いものと言えるでしょう。

試用期間の延長が認められる要件は以下の通りです。

① 試用期間の延長について就業規則等に予め規定されていること

② 本人に採用時に予め延長について通知および合意を得ること

③ 試用期間を延長するに合理的な理由が存在すること

特に注意が必要であるのが、③合理的な理由があることです。

そもそも試用期間を設ける目的とは、労働者の適性を評価・判断するものであると解されます。試用期間中の労働者は通常よりも不安定な地位に置かれることから、適性を判断するのに度を越えた長期に試用期間に関しての基準は必然的に厳しいものとなってきます。そこで、試用期間の延長が認められる為には、そもそも合理的な正当事由が必要になります。

具体的には、欠勤日数が多い場合、試用期間中に業務違反や規律違反に当たるような行為をした場合、勤務成績が著しく悪く、注意・指導しても一向に改善されない場合には合理的な理由と認められるケースがあります。

ポイントとしましては

① 適性判断をするのに不十分と認められるかどうか

⇒欠勤期間が多く物理的に不十分といえるかどうか、即時不適格と断定できないとしても、適性に疑問があり適性判断に更に時間を要することが必要と認められるかどうか

② 既に不適格と認められていても本人の反省をみたいかどうか

⇒規律違反をした場合等、恩恵的に試用期間を延長する場合等

上記基準によって合理的理由と認められるかどうか検討する必要がありそうです。

転籍は拒否できるか?   [ 2019.06.14 ]

転籍は拒否できるか?
子会社に転籍をさせたい従業員がいた場合、会社は無条件に社員に対し、転籍命令を出せるでしょうか?従業員が拒否した場合にはどうなるでしょうか?

転籍とは
転籍とは、従来雇用関係のあった会社との労働契約を終了し、新たに別の会社と労働契約を結びなおすことが同時に行われることを言います。

転籍は本人の同意が必要

「転籍」を命じる場合、法律上は労働者の同意(承諾)なくして別の会社の指揮命令下
のもと働かせることは出来ない、とされています。(根拠:民法625条)
就業規則、労働契約等で「転籍」に関する規定があったとしても、本人の個別の同意がない限り転籍をさせることが出来ないというのが、裁判所の見解です。
転籍には労働者個別の同意が必要、というのが大原則となります。
これはあくまでも、転籍は移転先との労働契約の成立を前提とするため、元の会社が規則等により定めていても、労働者は元の会社の規則で制限することは出来ず、元の会社規則等を根拠に転籍を命じることができない、という理論になります。

労働者本人の同意が得られない場合は?
上記はあくまでも原則論になります。原則としては個別の同意が必要となりますが、以下の条件を満たす場合には個別の同意を必要としない、とされています。
① 親会社の入社案内に子会社が勤務地の1つして明示され、
② 採用面接時に転籍があり得る旨の説明、労働者がそれに同意、
③ 更に転籍によって労働条件が不利益にならず
④ 転籍といっても、実質的には親会社の一部門として扱われており、永年転籍も配転と同様に扱われてきた
上記要件を全て満たす場合には、個別の同意なく、転籍を命ずることが出来ると過去に認められた判例があります。

グループ会社であり、グループ内における雇用調整のための転籍が慣習的に定着している場合には、例外的に認められるケース場合があります。

ただし、この場合でも、転籍後の労働条件の保障は特に重要な要素となりますので、注意が必要です。

まとめ

「転籍」を命令する場合、原則としては労働者の同意が必要不可欠です。同意が得られないまま、勝手に転籍をさせることは出来ません。
例外的に同意を必要としない場合もありますが、認められる余地は非常に小さいです。
実際に「転籍」命令の同意を得られなかった場合には、従業員との労働条件の擦り合わせをし、同意をもらう方向性に話し合いをする、もしくは出向や配転など別形態での人事異動を模索することになるでしょう。

転籍は拒否できるか?   [ 2019.04.10 ]

転籍は拒否できるか?
子会社に転籍をさせたい従業員がいた場合、会社は無条件に社員に対し、転籍命令を出せるでしょうか?従業員が拒否した場合にはどうなるでしょうか?
転籍とは
転籍とは、従来雇用関係のあった会社との労働契約を終了し、新たなに別の会社と労働契約を結びなおすことが同時に行われることを言います。

転籍は本人の同意が必要

「転籍」を命じる場合、法律上は労働者の同意(承諾)なくして別の会社の指揮命令下
のもと働かせることは出来ない、とされています。(根拠:民法625条)
就業規則、労働契約等で「転籍」に関する規定があったとしても、本人の個別の同意がない限り転籍をさせることが出来ないというのが、裁判所の見解です。
転籍には労働者個別の同意が必要、というのが大原則となります。
これはあくまでも、転籍は移転先との労働契約の成立を前提とするため、元の会社が規則等により定めていても、労働者は元の会社の規則で制限することは出来ず、元の会社規則等を根拠に転籍を命じることができない、という理論になります。

労働者本人の同意が得られない場合は?
上記はあくまでも原則論になります。原則としては個別の同意が必要となりますが、以下の条件を満たす場合には個別の同意を必要としない、とされています。
① 親会社の入社案内に子会社が勤務地の1つして明示され、
② 採用面接時に転籍があり得る旨の説明、労働者がそれに同意、
③ 更に転籍によって労働条件が不利益にならず
④ 転籍といっても、実質的には親会社の一部門として扱われており、永年転籍も配転と同様に扱われてきた
上記要件を全て満たす場合には、個別の同意なく、転籍を命ずることが出来ると過去に認められた判例があります。

グループ会社であり、グループ内における雇用調整のための転籍が慣習的に定着している場合には、例外的に認められるケース場合があります。

ただし、この場合でも、転籍後の労働条件の保障は特に重要な要素となりますので、注意が必要です。

まとめ

「転籍」を命令する場合、原則としては労働者の同意が必要不可欠です。同意が得られないまま、勝手に転籍をさせることは出来ません。
例外的に同意を必要としない場合もありますが、認められる余地は非常に小さいです。
実際に「転籍」命令の同意を得られなかった場合には、従業員との労働条件の擦り合わせをし、同意をもらう方向性に話し合いをする、もしくは出向や配転など別形態での人事異動を模索することになるでしょう。

請求できる残業代の単位について   [ 2019.03.06 ]

原則としては、残業代は1分から請求することができます。
会社によっては、1日ごとに15分や30分単位での残業時間を切り捨てる方法を採用しているのを散見します。
しかしこの計算方法は一般的には違法な処理となります。

基本的には労働者は働いた時間の対価として賃金が支給されるのであり、働いた残業時間が1分でも発生したのであれば、会社には労働者に対し発生した残業代を支払う義務が生じます。(根拠:労働基準法37条及び24条)

しかしながら、全ての労働者に対して、労働時間1分単位での管理、および給与計算を行うとなれば、事務処理の著しい煩雑化が免れず、利便性に欠けます。そこで、厚生労働省が割増賃金計算における端数処理の例外規定として以下の通達を出しています。

1か月における時間外労働、休日労働及び深夜労働の各々の時間数の合計に1 時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時 間に切り上げること。(昭和63年3月14日 基発第150号より)

上記規定を適用して例を考えてみましょう。
例えば、1ヶ月の法定外残業の合計時間が40時間27分の場合、30分未満は切捨となるので40時間分の残業代が請求できることとなります。
あくまでも1日単位での切捨は違法、1ヶ月の合計時間の端数処理は適法となるというわけです。

振替休日と代休の違い   [ 2019.02.20 ]

振替休日」と「代休」、本来休みの日に出勤させる代わりに他の日に休みを与えるものであり、一見双方ともに同じ意味合いのように思えます。しかしながら、法律上の取り扱いが全く異なる「別物」となります。振替休日とは?

「振替休日」とは「休日」を予め「労働日」と変更し、代わりに他の「労働日」を「休日」へと変更することを言います。

「振替休日」を行った場合、通常休日とされている日に社員を出勤させたとしても、休日出勤は「労働日」として取り扱われることになり、「休日労働」には該当しません。

振替休日における割増賃金について

「休日労働」には該当しない為、「休日労働」に対する割増賃金(3割5分以上)の支払い義務は発生しません。ただし、「振替休日」が週をまたぎ、勤務週の労働時間が40時間を超える場合、別途「時間外労働」としての割増賃金(2割5分以上)の支払い義務が生じますのでご注意ください。

代休とは?

一方の「代休」とは、「休日労働」が実際に行われた後に、代わりに「休日」を設けることをいいます。事後に「休日」を与えたとしても「休日労働」の事実が消えたことにはならず、割増賃金の支払い義務が生じます。

代休における割増賃金について

「代休」の割増賃金支払い義務ですが、「休日労働」が「法定休日」(労働基準法で定められた「週1回または4週に4回」与えなければならない休日)に行われたか、「法定外休日」(会社が任意で制定した法定休日を上回る日数の休日)に行われたかによって割増率に差異が生じます。

「法定休日」の場合、割増賃金が3割5分以上の割増率で計算しなければなりませんが、「法定外休日」の場合、週40時間の労働時間を超える場合、「時間外労働」として2割5分以上の割増率が発生することになります。

年次有給休暇の基準日の設定について   [ 2019.02.13 ]

労働基準法39条1項によれば「使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し前労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」としています。

原則としては労働者の入社日を基準にして有給休暇を付与します。その場合、社員一人一人を個別に管理する必要があり非常に煩雑かつ手間がかかります。そこで事務の簡素化の観点から一定の要件を満たした場合、全労働者に対し一律の基準日を定めて有給休暇を付与することを認めています。

一定の要件とは、

① 斉一的取扱により法定の基準日以前に付与する場合、付与要件である8割以上の出勤について短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと。

② 次年度以降の年次有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰上げた期間と同じ又はそれ以上に期間法定の基準日より繰上げること。

つまり、基準日を設ける場合は労働者に不利益にならないよう常に前倒しして有給休暇を付与しなければなりません。

毎年4月1日を基準日とした場合

平成29年5月10日に入社した社員の事例を考えてみましょう。労働基準法上、1年6箇月経過する平成30年11月10日の時点に11日の有給休暇が付与されます。

したがって、上記要件を満たすためには、平成30年4月1日には11日の有給休暇が前倒しで付与されることになります。

年次有給休暇の基準日を設ける上で

基準日を設ける際、前述の通り前倒しをして有給休暇を与えるため、入社時期のずれによって不公平感が生じやすくなります。基準日を年2回設けることにより不公平感を軽減する策もあります。会社の実状に合わせ、管理の煩雑さ、労働者の公平を保てる方法を模索することが大切になります。

36協定の特別条項に上限が設けられます。   [ 2019.01.30 ]

2019年4月を目処に労働基準法が改正される方向で進んでいます。

36協定には月に45時間、1年間で360時間以内という基準が設けられていますが、罰則がない上に繁忙期等は「特別条項」を設ければ、実質いくらでも残業時間が設定できる状況でした。

これを見直すため、36協定を超えて働かせる特別条項に上限ができるようになります。

時間外限度基準告示にとどまる上限規制を法律に格上げし、違反には罰則を適用することで、強制力が高まり、臨時的、特別な事由があり労使が合意した場合でも、上回ることのできない上限を設定し、過重労働による健康障害防止の徹底を図るといった目的があります。

概要は下記のとおりです

●臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない時間外労働時間を年720時間(=月平均60時間)とする

●年間720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限上回ることのできない上限を下記の通り設ける

①2ヵ月、3ヵ月、4ヵ月、5ヵ月、6ヵ月の平均で、いずれにおいても、休日労働を含んで80時間以内とする

②単月では、休日労働を含んで「100時間未満」とする

③上記の特例の適用は、年半分を上回らないよう、「年6回」を上限とする

従業員の健康管理のためにも時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめるようにするほか、法令順守のためにも、36協定の見直しに取り組む必要があります。

管理職と割増賃金   [ 2018.12.17 ]

管理職(管理監督者)の地位にある従業員対しては時間外手当、休日手当を支払う必要はありません。

しかし、ここでいう管理監督者とは「労働条件の決定その他の労務管理について経営者と一体的な立場にある者」とされており、「部長」「営業部長」といった肩書きではなく、実態により判断します。

例えば、「地位に応じた相応の賃金が支払われている」といった待遇とともに「部下の採用、給与の決定など人事管理の権限を持つ」「出退勤時間が本人の裁量に任されている」といった立場にあることが必要です。営業上の理由で全員に「課長」という肩書が与えられている部署があったとしても、その従業員がこのような立場になければ管理監督者とは言えません。

管理職の地位に当たる従業員は、会社への評価を一番に考えたりと一般の従業員とは違う思考が多いためか申し出が少なかったりもします。しかし労働基準法でも定められておりトラブルに発展するケースも考えられます。

給与計算を行なっている経営者はもちろん、担当者であっても特に人事関連も任されている方は、「○○さんは、管理職だから残業代は出ない。」と決めつけるのではなく、労働基準法で定められている管理監督者の要件にしっかりと該当しているかどうかを一度チェックした方が良いでしょう。

なお、深夜手当は管理監督者に対しても支払う必要があります。

解雇について   [ 2018.12.05 ]

解雇とは、使用者の一方的な意思表示により労働契約を終了させる事です。
解雇の種類には大まかに下記の3通りがあります。
●普通解雇
・勤務成績が著しく悪く、指導を行っても改善の見込みがないとき
・健康上の理由で、長期にわたり職場復帰が見込めないとき
・著しく協調性に欠けるため業務に支障を生じさせ、改善の見込みがないとき
労働契約の継続が困難な事情があるときに限られます。
●整理解雇
・人員削減を行う必要性
・できる限り解雇を回避するための措置を尽くすこと
・解雇対象者の選定基準が客観的・合理的であること
会社の経営悪化により、人員整理を行う為の解雇で労働組合との協議や労働者への説明を行うとともに、慎重に検討を行う事が重要です。
●懲戒解雇
従業員が極めて悪質な規律違反や非行を行ったときに懲戒処分として行う為の解雇で、就業規則や労働契約書にその要件を具体的に明示しておくことが必要です。
労働契約法第16条では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています
また労働基準法上では解雇予告について定められており、少なくとも30日前までにその予告をしなければならなりません。また、予告をしないで即時に解雇しようとする場合には、解雇と同時に平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う義務があります。解雇しようとする日まで30日間無い場合は解雇予告をした上で30日に不足する日数分の解雇予告手当を支払うことになります。

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