社会保険労務士法人ティグレのお役立ちコラム

2012年10月

制度の谷間、健保で救済へ 仕事中けがの高齢者ら   [ 2012.10.24 ]

厚生労働省は10月19日、仕事中にけがをしたシルバー人材センターの高齢者らが労災保険の対象にならない場合、健康保険を適用して救済する方針を固めました。健康保険も労災保険も適用されず「制度の谷間」に落ちてしまう人が治療費の全額自己負担を強いられるケースが相次いだため、対策を協議していました。
厚労省は社会保障審議会医療保険部会での議論を経て、2013年の通常国会に健康保険法改正案を提出したい考えです。
シルバー人材センターを通じて請負の形で仕事をする高齢者や、インターンシップ(就業体験)中の学生らは、センターや企業との間に雇用関係がないため、仕事中にけがをしても労災保険を受けられない現状です。

業務上事故の使用者責任   [ 2012.10.23 ]

関越自動車道で4月29日に7人が死亡した高速ツアーバスの事故は、その凄惨さから世間の大きな注目を集めています。

 

価格競争に端を発する業界の下請け・孫請け構造、労務管理体制の不備や違法性が次々に明らかになると同時に、今後企業は世間からますます高い企業倫理を求められることになるでしょう。本稿では、業務上の事故の使用者責任について取り上げます。


【業務上事故の使用者責任】

そもそも、この「使用者責任」という耳慣れない言葉は民法上に規定されているものです。
---------------------------------------------------------------------------------------------------- <民法715条1項>

ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

 

つまり、仕事をしていて第三者に損害を与えた場合には、会社には損害賠償責任があるということになります。ただし、次の例外があります。


----------------------------------------------------------------------------------------------------使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

これは、会社が相当の注意をしていたのに起きてしまった事故の場合は、その範囲において会社は賠償責任を負わなくともよい、ということです。言い方を変えれば「会社が相当の注意をしていた」と立証できない限りは、会社の責任はあるということになります。


【使用者責任の例】

●残業や休日出勤により疲労の蓄積が認められる状態で交通事故を起こした場合、その点で企業は責任がある。

●発作を伴う病気を持った労働者であると知りながら業務上車の運転をさせ事故を起こした場合、使用者責任がある。

●労働者が(勝手に)不正な会計処理や公文書偽造により第三者に損害を与えた場合、(会社が不正を命令していないとしても)監督責任を果たしていないとなる可能性がある。


【事故を起こした労働者の責任はあるか】

もちろん事故を起こした本人にも責任があるため、会社がその損害賠償金を支払った場合は本人に請求(「求償」といいます)できます。しかし、この求償の場合にも、労働条件や事故防止策について会社の不備がある場合には制限がかかります。会社はこのように大きな社会的責任を担っている分、残業等の労働時間管理や内部統制には十分な対策を練る必要があります。

健康保険の任意継続をしたほうが有利な場合とは   [ 2012.10.21 ]

【任意継続とは】                                                     健康保険の任意継続とは、会社などを退職して被保険者の資格を喪失したときに、一定の条件のもとに個人の希望により引き続き被保険者となることができる制度です。つまり、健康保険の資格を「任意に」「継続」するものです。

【要件】
だれでも任意継続ができるわけではなく、次の要件があります。

(1)資格喪失日の前日までに継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること。
(2)資格喪失日から「20日以内」に申請すること。
20日目が営業日でない場合は翌営業日まで)
 ※申請については、自宅住所地を管轄する全国健康保険協会の都道府県支部で行います。

【任意継続をしなければどうなるか】
任意継続をしないならば、主に以下のいずれかの選択肢を選ぶ必要があります。
1.居住地の国民健康保険に入る
2.家族の扶養に入る
3.再就職先の健康保険に入る
 
日本は「国民皆保険=全国民が何らかの健康保険制度に入る」ですので、何も加入しないという選択肢は選べません。では、どんなときに任意継続制度利用するのが有利なのでしょうか?

【任意継続をしたほうが有利な場合】

任意継続をしたほうが有利な場合とは、保険料で比較して任意継続の保険料が低いときです。
任意継続の保険料は、以下のルールにより決まります。

  • 退職時の健康保険の標準報酬月額を引き継ぎます
  • ただし、任意継続における標準報酬月額の上限は28万円です
  • 在職時に会社が半額負担してくれていた分も本人が負担します
    (つまり健康保険料の負担が倍になります) 

この「上限28万円」がポイントで、退職時の給与が高額な場合、たとえば過去3年の月額給与が100万円であっても、任意継続の保険料は28万円をもとに決められます。一方で国民健康保険の場合は「前年の所得」を元に保険料決定しますので、先の例の場合「月給100万円」に基づいて保険料を計算します。

つまり、退職時の給与が高い人は任意継続の方が保険料が抑えられるためその点で有利です。保険料の面でどちらが有利かを確かめるためには、国民健康保険料を市役所・区役所で確認し、任意継続保険料と比較するとよいでしょう。

以上、任意継続についてでした。

2011年度不払い残業代 18%増の146億円   [ 2012.10.19 ]

労働基準監督署の是正指導を受け、2011年度に100万円以上の不払い残業代を支払った企業は前年度比5%(74社)減の1312社で、支払った残業代の総額は同18%(約22億8000万円)増の約146億円に上ったことが16日、厚生労働省のまとめで分かりました。是正企業数は2年ぶりに減少する一方、支払総額は2年連続で増加しました。

 サービス残業は3年ぶりに増加した前年度に続いて増加傾向ですが、企業数が減ったことについて、厚労省は「全国展開している企業に対する指導を11年度から強化したため、支払総額が膨らんだ」としています。1社での最高支払額は約26億8800万円(建設業)でした。

 厚労省によると、11年度に不払い残業代の支払いを受けた労働者は約11万7000人。1人当たりの受け取り平均額は12万円で、1社当たりで支払った平均額は約1100万円。

 業種別では商業が342社(支払額計約32億9000万円)、製造業が321社(同約22億8000万円)、病院などの保健衛生業が107社(同約11億円)でした。

育児休業中の社会保険料の免除   [ 2012.10.18 ]

【育児休業中の社会保険料】
育児休業を取ったときは、無給であったり休業前の収入よりダウンしたりするのが一般的です。その上、健康保険や厚生年金の支払いが必要になると、経済的な負担が大きくなります。このような場合、申請をすれば、育児休業中の健康保険や厚生年金の支払いを全額免除されます。また、賞与・期末手当等にかかる保険料についても免除されます。

<ポイント>
保険料の免除は従業員だけではなく、事業主負担分も免除されます。

この手続きをすれば、保険料免除中でも保険料を払っているものとみなされますので、保険証を使って診察を受けることができ、将来受け取る年金の給付額が減額されることもありません。会社としても社会保険料の負担がなく社会保険資格を継続できますので、必ず提出してください。

 なお、この申請は従業員が行うのではなく、会社が行います。年金事務所にて社会保険料免除のための申請書(「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書」)を入手して手続きをしてください。

【保険料が免除される期間】
育児休業の開始日(出産の翌日から数えて57日目)の属する月から、育児休業の終了日の翌日が属する月の前月までの期間です。

育児休業が長期間に渡った場合、最長で育児休業の対象となる子の満3歳の誕生日が属する月の前月までが免除の対象となります。

【育児休業期間を延長するときは】
育児休業期間を延長する場合は、延長の届出を行うことができます。

【その他の注意事項】
育児休業は、男性にも取得が認められていますので、男性加入者も対象となります。この届出をしない場合、社会保険料は免除されませんので、届出忘れのないように注意が必要です。

【必要書類】
母子手帳(写)

社会保険の制度は育児についてそのサポートが手厚くなっています。保険料免除については、ぜひ漏らさずご活用ください。

以上、育児休業中の保険料免除についてでした。

障害者の法定雇用率が引き上げられます   [ 2012.10.17 ]

企業は、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務があります。これを「障害者雇用率制度」と呼びます。今回は、障害者の法定雇用率引き上げについて説明します。

【法定雇用率】
平成25年4月1日より、法定雇用率が以下のように変わります。 

【障害者雇用率制度とは】
「障害者の雇用の促進等に関する法律」では、事業主対して、その雇用する労働者に占める身体障害者・知的障害者の割合が一定率(法定雇用率)以上になるよう義務づけています。なお、精神障害者について雇用義務はありませんが、雇用した場合は身体障害者・知的障害者を雇用したものとみなされます。

この法律では、法定雇用率は「労働者の総数に占める身体障害者・知的障害者である労働者の総数の割合」を基準として設定し、少なくとも5年ごとに、この割合の推移を考慮して政令で定めるとしています。今回の法定雇用率の変更は、同法の規定に基づくものです。

つまり、「民間企業の場合、全従業員の内2%は障害者を雇用しなければならない」ということです。

【注意点】
従業員50人以上56人未満の事業主のみなさまは、特にご注意ください。今回の法定雇用率の変更に伴い、障害者を雇用しなければならない事業主の範囲が以下のように変わります。

[変更前]従業員56人以上
[変更後]従業員50人以上


また、その事業主には、以下の義務があります。

  • 毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければなりません
  • 障害者雇用推進者を選任するよう努めなければなりません

以上、障害者の法定雇用率引き上げについてでした。

休憩の自由利用の原則と例外について   [ 2012.10.10 ]

休憩時間とは、「労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間」を指しますが、実際には電話番やその他の仕事をお願いせざるを得ないことがあります。ここでは、休憩を自由に利用することの原則と例外について説明します。

【休憩の自由利用の原則とは】
休憩の自由利用の考え方は、労働基準法(第34条第3項)に「使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない」と規定されていることに依ります。自由利用の原則を法律上明確にしたのは、かつて戦時中の就業規則に、休憩時間中、指揮者の定めるところに従い体操を行うべしと規定するものが多かったことなどの事情があったそうです。

したがって、休憩時間中に職場体操を義務付けたり、来客の対応のために居残り・待機を強制させることは、自由利用の原則に違反することになります。

【自由利用はどこまで許すべきか】
ただ、自由利用とはいえ拘束時間の間にありますので、会社の秩序を乱すようなこと、職場の安全を脅かすようなことまでを許す必要はありません。休憩は、本来次の労働再開に備えて休息を取る目的のものですから、そのあとの労働が出来ないような飲酒等を規制することはむしろ当然のことでしょう。また、休憩時間中の外出について所属長の許可を受けさせることについても、「事業場内において自由に休憩し得る場合には必ずしも違法にはならない」としています。

【自由利用の例外】
以下のような職種には、自由利用の例外があります。

  • 警察官
  • 消防官
  • 乳児院
  • 養護施設その他施設に勤務し児童と起居を共にするもの など


【昼休みに電話当番を命じてもよいか】
原則としては自由利用の原則に反するのでダメということになります。その時間は労働時間となります。ただし、その頻度が多くなく、ほとんど負荷のかからない電話番であれば、労使で話し合ってお願いする、場合によっては少し手当を支給して納得してもらうなど、柔軟な対応をとることが得策でしょう。


以上、休憩の自由利用の原則と例外についてでした。

介護など3分野の人材育成へ「段位」制度立ち上げ   [ 2012.10.04 ]

政府は仕事上の実践的な能力を全国統一基準に基づく「段位」で業種ごとに評価する新制度を立ち上げ、年内にも段位の認定を始めます。企業の枠を超えて働く力を測る物差しを整備し、成長性の高い介護、温暖化対策、農漁業高度化の3分野の人材育成につなげます。

 新制度は「キャリア段位制度」。約700職種を網羅する英国の職業能力評価制度(NVQ)がモデルとしていて「日本版NVQ」とも呼ばれます。①「介護プロフェッショナル」②温暖化ガス削減など気象の環境対策を担う「カーボンマネージャー」③農林漁業の経営力を高める「食の6次産業化プロデューサー」の3職種を先行して整備します。

 キャリア段位の特徴は、知識や技能を試験で認定するこれまでの資格と異なり、実際にどんな仕事ができるのか、職場での能力を評価する点にあります。入門クラスの「レベル1」から、その分野を代表する人材を示す「レベル7」まで7段位を設けます。

 政府は2020年度までに3分野で22万人への授与を目指すとのことです。

休日と休暇の法律上の違い は?   [ 2012.10.04 ]

休日と休暇、どちらも「働かない日」という点では共通していますが、法律上どのような違いがあるのでしょうか。

 

【休日の定義】
休日とは、就業規則等においてあらかじめ「労働義務がない日」と定められている日のことを指します。つまり、非労働日です。非労働日ですので、所定労働時間(〇時間働くという時間)が決められていません。

休日については、以下のような最低ラインが定められています。

・週1日
・または4週に4日


【休暇の定義】
休暇とは、労働義務のある労働日について「労働義務の免除」を労働者側の申し出(意思表示)等によって得た日を指します。この場合、休日と違い「所定労働時間」があることが前提となります。

この休暇を労働者がとることができる法的根拠は、法律の定めによって発生する法定休暇と、就業規則等の定めによって発生するその会社独自の会社休暇の2種類があります。

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①法定休暇(法律で与えないといけないとなっているもの)

  • 年次有給休暇(いわゆる有給)
  • 産前・産後休暇(いわゆる産休)
  • 生理休暇
  • 看護休暇(子どもの傷病などの世話)

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②会社休暇(会社独自の休暇)

  • 慶弔休暇
  • 病気休暇
  • 特別休暇
  • リフレッシュ休暇 など

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法定の休暇については、労働者の意思表示によって休暇が成立するという厳格さがありますので、原則として会社はその休暇取得を拒むことができません。なお、有給については「時季を変えてくれと言う権利≒時季変更権」があります。

一方で、会社休暇については、会社独自のルールによって与えても差し支えありません。例えば、繁忙を理由にリフレッシュ休暇を承認しないことがあるというルールを定めてもいいということです。

 

休日休暇、さらに休暇の中でも法定休暇会社休暇について、会社は区別して取り扱うことでトラブルを防ぎましょう。
以上、休日と休暇の違いについてでした。

ホームページを開設いたしました   [ 2012.10.01 ]

社会保険労務士法人ティグレのホームページを開設いたしました。
定期的に情報コラムを発信してまいりますので、どうぞお役立てください。

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