社会保険労務士法人ティグレのお役立ちコラム

2013年2月

傷病手当金の支給条件と支給額について   [ 2013.02.22 ]

労災でない私生活上の病気や怪我により会社を休んだ場合、健康保険から「傷病手当金」が支給されます。

 

【傷病手当金の条件】

傷病手当金は、被保険者(健康保険の加入者)が以下すべての条件に当てはまった際に支給されます。

① 病気やけがのために働くことができない
② 会社を休んだ日が、連続して3日間ある(いわゆる待機期間)

③ 4日目以降も休み

ただし、休んだ期間について事業主から傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合には、傷病手当金は支給されません。

 

【いくら支給されるか】

支給額は、病気やけがで休んだ期間、1日につき、標準報酬日額の2/3に相当する額です。なお、働くことができない期間について、ア、イ、ウに該当する場合は、傷病手当金の支給額が調整されることとなります。

ア.事業主から報酬の支給を受けた場合

イ.同一の傷病により障害厚生年金を受けている場合
(同一の傷病による国民年金の障害基礎年金を受けるときは、その合算額)

ウ.退職後、老齢厚生年金・老齢基礎年金・退職共済年金などを受けている場合 
(複数の老齢給付を受けるときは、その合算額)

  • ア~ウの支給日額が、傷病手当金の日額より多いときは、傷病手当金の支給はありません
  • ア~ウの支給日額が、傷病手当金の日額より少ないときは、その差額を支給することとなります

 

【支給の例】

標準報酬月額20万円、9月1日~9月3日有休消化、9月4日~9月30日無給で休んだ場合

20万円÷30×2/3×27日分=119,880円

上の例で、待機期間の3日は有給・無給を問いませんので、有休消化した場合も「待機」として扱われます。ただし、連続して3日の待機期間が必要ですので、飛び飛びに休んだ場合は「待機」として扱われません。

 

【その他注意事項】

1.医師の証明について

傷病手当金の支給申請には、以下2点が必要です。

① 医師が労務不能と証明すること
② 会社が給与支払なしと証明すること

①をもらうには、証明書発行の手数料がかかります。傷病による休業期間があまりに短い場合(例えば給付対象が1日しかない場合など)、その証明書発行手数料を差し引くと実質的支給額が少なくなることがあります。

 

2.申請のタイミングについて

また、傷病手当金は、前述②のように「会社が給与を支払っていない証明」が必要なため、給与締日の途中までの医師証明を取っても、その月分の給与締日が来て、給与支払額が確定しなければ申請できません。できれば、会社の給与締日に合わせて医師の証明を取ることをお勧めします。

以上、傷病手当金についてでした。

従業員の健康診断について   [ 2013.02.19 ]

会社は、従業員の健康に配慮しなければなりません。自らの健康を測るための健康診断について、法律ではどのように決まっているのでしょうか。

 

【労働安全衛生法上の健康診断】
労働安全衛生法という法律では、以下の健康診断を実施することが義務付けられています。

1.雇入れ時の健康診断
従業員を雇い入れる際、健康診断を受診させなければなりません。ただし、従業員が入社日前3ヶ月以内に健康診断を受診している場合、受診結果を証明する書面を提出すれば、受診させる必要はありません。

2.定期健康診断
1年に1回、定期に健康診断を受診させなければなりません。この場合の健康診断は、原則として会社の負担で行わなければなりません。この健康診断は、従業員の一般的な健康維持増進を目的としているため、健康診断中の賃金の支払いは義務ではなく、労使の話し合いで決められます。

必要な受診項目は、以下の通りです。

① 既往歴及び業務歴の調査
② 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
③ 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
④ 胸部エックス線検査及び喀痰検査
⑤ 血圧の測定
⑥ 貧血検査
⑦ 肝機能検査
⑧ 血中脂質検査
⑨ 血糖検査
⑩ 尿検査
⑪ 心電図検査

3.特定業務(深夜業など)を含む勤務をしている従業員の健康診断
労働者が深夜業を含む勤務形態、または坑内や著しい寒冷地や暑熱地で働いている場合など特定の業務形態の場合は、その業務への配置換えの際、ならびに6ヵ月に1回の頻度で健康診断を受けさせなければなりません。

この場合、前述の定期健康診断と違い、業務遂行のために特殊な環境下での労働を求めている以上、その費用を会社が負担するのはもちろんのこと、健康診断中の賃金も会社が負担するべきとされています。

4.有機溶剤や石綿などを取り扱う有害業務従事者に対する特殊健康診断
有機溶剤や石綿など特定の化学物質等を取り扱う業務に従事する労働者には、それぞれ特殊な項目による特殊健康診断を受診させなければなりません。この健康診断についても、特定業務の健康診断と同様に会社費用負担、ならびに受診中の賃金支払いが必要です。

 

以上、従業員の健康診断についてでした。

高額療養費制度について   [ 2013.02.15 ]

入院などで医療費が高額になった場合、健康保険制度から給付があります。

 

【高額療養費制度とは】
重い病気などで病院等に長期入院したり、治療が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額となります。そのため家計の負担を軽減できるように、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。

【自己負担限度額】
自己負担限度額の計算方法は以下の通りです。

-----------------------------------------------------------
<一般の被保険者の場合>
80,100 円+(総医療費-267,000 円)×1%

例)総医療費が100万円、自己負担額30万円の場合

80,100円+(100万円-267,000円)×1%=87,430円
30万円-87,430=212,570円が高額療養費として支給

-----------------------------------------------------------
<上位所得者の場合:標準報酬月額が53万円以上の者>
150,000 円+(総医療費-500,000 円)×1%

例)総医療費が100万円、自己負担額30万円の場合

150,000 円+(100万円-500,000 円)×1%=155,000円
30万円-155,000=145,000円が高額療養費として支給

-----------------------------------------------------------

【自己負担額に算入できるもの】
 保険適用される診療に対し、患者が支払った自己負担額が対象となります。

【自己負担額に算入できないもの】
・  差額ベッド代
・  病衣代
・  食費
・  先進医療にかかる費用等

【いつ申請するか】
高額療養費の計算単位は暦月ですので、一ヶ月ごとに自己負担額を計算し、前述の基準額を超えるようであればその月ごとに申請することができます。また、この高額療養費の請求時効は2年ですので、過去のものを数ヶ月分まとめて申請することも可能です。

一方、長期入院などであらかじめ医療費自己負担が高額になることがわかっている場合、「健康保険限度額適用認定申請書」という書類を事前に出すことで、高額療養費基準額以上の窓口負担がないようにすることもできます。

 

以上、高額療養費制度についてでした。

採用内定について <トラブル例示と注意点>   [ 2013.02.12 ]

新しい年度を目前に、新卒者を迎える企業ではその受け入れ準備が進められています。

一方で、景気後退や天災等の影響から予定通りの雇用ができず、内定者とのトラブルに発展するケースもあります。

本稿では、採用内定の法律的効果、並びに内定者への対応に関する注意点について取り上げます。


【内定とは何か】

内定とは、「(主に新規学卒者と企業との間に)解約権を留保した始期付きの労働契約が成立した状態」を言います。

実際に労務の提供はなされていないものの、労働契約成立とみなされる点で労働基準法が適用されます。

つまり、内定者に対する内定取り消しや入社時期延期、賃金条件の変更等の行為には労基法上の制限がかかるため、既存の社員に準じた注意を払う必要があります。


【トラブル例示と注意点】

では次に、内定を巡る代表的なトラブルと、その合理性の判断基準・注意点を具体的に取り上げます。

<1、内定取り消し>
内定取り消しをする主な理由としては、①経営不振や人員計画の変更などの会社都合②内定者の社員としての適格性の二つが主なものですが、それぞれの合理性を判断する基準は以下のとおりです。

《①会社都合の場合の判断基準》

ⅰ)整理解雇の4要件を満たしているか
・ 人員削減の経済的必要性がある
・ 解雇(内定取消)回避努力の程度が相当である
・ 対象者選定に合理性がある
・ 説明責任の遂行程度が相当である

ⅱ)あらかじめ内定取消事由として経済的理由を約束しているか

ⅲ)30日以上の予告期間を設けているか

《②内定者の適格性を見る場合の判断基準》
ⅰ)経歴詐称や過去の犯罪歴の程度が社員としての適格性を欠くか
ⅱ)卒業できないなど、労務の提供が不可能となるか
ⅲ)あらかじめ内定取消事由として上記のような理由を約束しているか

【2、雇用開始時期の延期】
人員に余剰が生じたなど会社の都合で雇用開始時期の延期をする場合、当該延期期間は会社都合による休業になります。

そのため、待機期間に対する休業手当の支払いが必要となることがあります。

休業手当は平均賃金の6割以上である必要があり、賃金支払い実績のない内定者の場合は、予め契約した賃金等をもとに計算することになります。

【近年さらなる注意が必要な事項】
採用前の事前研修や内定式等の場では、会社業績や人員計画・営業戦略・研修内容・新商品情報などの企業機密情報を取り扱う可能性があります。

近年ではソーシャルメディアの普及により、内定者が悪気なくそれらを漏洩してしまうリスクも無視できません。

その点で、内定者に対しても秘密保持契約書や念書を書いてもらうことも検討すべきと言えます。

社会保険の被保険者とは   [ 2013.02.08 ]

社会保険の被保険者とは、どのような働き方をする従業員を指すのでしょうか。
なお、社会保険とは【健康保険(介護保険)・厚生年金保険】のことです。

社会保険の被保険者となるには、以下の要件があります。

-----------------------------------------------------------------------------------------------------
【原則】

  • 適用事業所に使用される者は、適用除外の者を除き、法律上当然に被保険者となる

この場合、法人の理事・監事・取締役・代表社員・無限責任社員など、法人の代表者または業務執行者であっても、法人から労働の対償として報酬を受けている者は、その法人に使用される者として被保険者の資格を取得します。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------
【適用除外】

以下の従業員は適用除外となります。

  • 正社員と比べて、労働時間か労働日数が3/4未満の
    いわゆるパートさん・アルバイトさんが社会保険適用除外となるには、上記の条件を満たす必要があります。
  • 臨時に使用される
    ・日雇いの者
    ・2ヶ月以内の期間を定めて使用される者
  • 季節的に使用される
    ただし継続して4ヶ月を超えて使用されるべき場合には、初めから被保険者となります。
  • 臨時的事業の事業所に使用される
    ただし、継続して6ヶ月を超えて使用されるべき場合には、初めから被保険者となります。
  • 国民健康保険組合など、他の保険制度に該当している 

-----------------------------------------------------------------------------------------------------

社会保険の調査がある場合、主に「加入すべき人がきちんと被保険者になっているか」を確認されます。その際、上記の適用除外項目に該当していないにもかかわらず加入していない場合、加入するよう指導されることになります。

多くは、以下のケースが問題になります。

  • 勤務時間の長いパートアルバイトで社会保険に加入していない
  • 正社員で「入社から〇ヶ月経ってから社会保険に入れる」というルールで
    社内処理をしている

自社の条件を改めて確認してみましょう。以上、社会保険の被保険者についてでした。

社会保険に加入しなければならない会社とは   [ 2013.02.05 ]

社会保険といえば、通常は健康保険厚生年金保険の総称として使われます。この社会保険は、どのような会社が加入しなければならないのでしょうか。以下、加入条件について説明します。

【原則】  強制適用事業所
法人企業で、常時従業員を雇っている会社は強制加入。
(たとえ社長1人の会社でも強制加入となります。)

② 個人事業で、常時5人以上の従業員を雇っている会社は強制加入。

【例外】  任意適用事業所
③ 個人事業で、常時5人未満の従業員を雇っている会社は強制加入ではないが、加入したければ任意に加入もできる。

④ 個人事業のうち、以下業種は従業員数に関わらず強制加入ではないが、加入したければ任意に加入できる。

  • 第一次産業:農業、水産、畜産業
  • 接客娯楽業:旅館、料理店、飲食店、理容業等
  • 法務業:弁護士、税理士等
  • 宗教業

擬制任意適用事業所

強制適用事業所が、業種の変更又は従業員数の減少等により、強制適用事業所に該当しなくなったときは、なんらの手続を要することなく、その事業所について任意適用事業所の認可があったものとみなされ、引き続き適用事業所となります。

保険制度である以上、加入者が多いほうが制度維持のためになるので、従業員5人以上の個人事業または法人企業は強制適用となっています。一方で、個人事業のうち、上記の一部業種においては、社会保険は任意適用となっています。

【強制加入なのに加入していない場合はどうなるか】
日本年金機構による適用促進調査などにより、強制的に加入となる場合があります。なお、場合によっては適用時に遡って加入することもあります。平成24年度現在、日本年金機構による適用促進が厳格化している傾向があります。

以上、社会保険の加入についてでした。

「雇用契約書」が大切な本当の理由②   [ 2013.02.01 ]

労使間で締結する雇用契約書には法令上の決まりがあり、またトラブル回避のためにリスクポイントを押さえた内容にする必要があります。

本稿では、前号に引き続きQ&A方式で重要な点をご説明します。


【Q1】雇用契約書には、どんな項目を記載すればよいでしょうか。
【A1】雇用契約書(労働条件通知書)には、「絶対に書かなければならないこと」と
「決まりがあるなら明示しなければならないこと」があります。

<絶対に書かなければならないこと>
(絶対的明示事項)

・雇用契約期間・更新の有無、更新の判断基準
・就業場所、転勤の可能性の有無、従事する職種
・始業および就業の時刻、休憩時間、休日、休暇
・所定時間を超える労働の有無
・交代制について(交代制がある場合)
・賃金額、計算及び支払方法、賃金締日支払日
・昇給について ※1
・定年・継続雇用等
・退職について(解雇の事由を含む)
※1 昇給については、口頭で明示してもよい。


<決まりがあるなら明示しなければならないこと>
(相対的明示事項)※2

・退職金、賞与その他臨時に支払われる賃金
・労働者に負担させる食費や作業用品
・安全及び衛生に関する事項
・職業訓練に関する事項
・災害補償及び業務外の傷病補助に関する事項
・表彰及び制裁に関する事項
・休職に関する事項
※2相対的明示事項は、口頭で明示してもよい。

企業の雇用契約書について、
これらの項目がもれなく記載されているかを確認してみて下さい。

【Q2】今まで雇用契約書を取り交わしていなかったのですが、
      今後パートも含め全員分の雇用契約書を整備したいと考えています。
      入社後相当年数経過している従業員との雇用契約締結は、どのように進めればよいでしょうか。

【A2】入社後相当年数経過した従業員との雇用契約については、
      例えば「新事業年度」「新年」「組織変更等の日」など
      切りのよいタイミングでの一斉整備をご検討ください。

既存の従業員の中には、入社から何度も賃金など労働条件が変わっている方もいらっしゃると思いますので、入社時に遡って雇用契約を締結することが困難です。

そのような場合は、従業員の納得性が高い日付から「改めて今後の労働条件はこうです」と雇用契約を結ぶと良いでしょう。

ただし、企業規模や既存社員の方の勤続年数によっては、「なぜ今さら雇用契約書を結ぶのか?」といった警戒・反発・不審を招く可能性もありますので、雇用契約書整備は慎重に進める必要があります。

また、雇用契約書は、就業規則との整合性についても注意しなければなりません。
雇用契約書と就業規則との間にズレや矛盾はないか、併せて検討していくことが必要です。

雇用契約書についてのご不明点は、お気軽に当事務所までお尋ね下さい。

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