社会保険労務士法人ティグレのお役立ちコラム

2014年7月

従業員を出向させるとき、本人の同意は必要か   [ 2014.07.30 ]

人事異動により関連会社等への出向をさせる場合、その出向命令の内容によっては対象従業員への説明や同意の取り付けを慎重に取り扱う必要があります。

 

原則として、出向には本人の同意が必要

従業員本人の同意がなければ、会社が強制的に出向させることはできません。

なぜなら、出向先は関連会社とは言えあくまで別の会社ですから、労働契約を結んだ元の会社でなく別の会社の指揮命令下で働いてもらうためには、従業員本人の同意を得る必要があるためです。

 

個人の同意が必要ない場合

ただし、必ずしも出向を命じる際に労働者本人の同意が必要でない場合があります。

それは、就業規則や労働協約等に「業務の都合により、従業員に出向を命じることがある」旨規定をしており、かつ「出向規程」などで出向の具体的条件を定めている場合です。これらが規定されていることで、出向に関し「包括的(ほうかつてき)な同意があった」と見なされ、個別の同意がなくても出向命令が可能となります。

過去にも「出向の諸条件が労働協約や就業規則で制度として明確にされている場合には、労働者その都度の個別の同意がなくても、使用者は労働者に出向を命じうる(松山地昭55.4.21)」という判例があります。

 

従業員を出向させる予定がある場合は、トラブル予防のため就業規則や諸規程の整備を進めましょう。

 

ただし、出向(とくに給与の減額、職種転換や転居を伴うもの)は従業員の生活環境を大きく変化させることになるため、規程整備をしたとしても、尚しっかりと説明をして同意をとる手順を踏む会社側の姿勢が肝心です。

社員の意見を聴かずに作成した就業規則は有効か   [ 2014.07.23 ]

常時10人以上の労働者を使用する事業場では、必ず就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。では、その就業規則を届け出する際に、社員の意見を聴く必要があるのでしょうか。

 

①労働者代表の意見を聴く必要あり

「労働者代表」とは、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその組合、ない場合には労働者の過半数を代表する者を指します。

就業規則を届け出する際には、「労働者代表」の意見を聴き、意見書を作成し添付する必要がある事が、労働基準法に明記されています。

「労働者代表」の同意を得る必要はないものの、意見を聴き、反対意見に関しては説明を行うことも大切です。

 

②意見は聴くだけでも良い

就業規則の作成、または変更する際は、あくまで労働者代表の「意見を聴くのみ」で足り、同意を求める必要はありません。反対意見があったとしても、就業規則の効力には影響はしないのです。また、労働者代表が意見聴取に協力せず、意見書を作成できないような場合には、その事実を客観的に証明すれば、意見書を提出する必要はありません。

 

就業規則は、会社で働く従業員にとってのルールであり、職場環境整備に役立てることができます。仮に、従業員側から反対意見が出てきたとしたら、無視をするのではなく、尊重し、意見に耳を傾ける姿勢を示せば、導入後もトラブルが起きる可能性は低いことでしょう。

懲戒とは何か   [ 2014.07.16 ]

就業規則に違反するなど、労働者が労働契約上の義務を果たさない時、使用者側は労働者に対して罰を与える「懲戒」をすることができます。

 

ただし、懲戒はあくまでも社員に対する「教育的指導」であるとされています。会社の秩序を守らせ、社員の成長や更生を願ってする目的でなければなりません。その叱る行為が行き過ぎてしまうと、「体罰」や「虐待」のようになってしまうことがありますので注意が必要です。

 

懲戒の種類とは

懲戒には主に以下のような種類があります。

 

① けん責

口頭で叱り、始末書を提出させるなど

② 減給

給与を一定期間減らすなど。労働基準法上、減給幅には上限があります。

③ 降格

下の役職に格下げするなど。役職手当がなくなることにより結果的に減給を伴うことがあります。

④ 出勤停止

いわゆる自宅謹慎処分。

⑤ 諭旨退職

更生の見込みが低く、また社風に合わないなどの状況により、退職を勧告すること。

⑥ 懲戒解雇

最も重い処罰。懲らしめる意味で解雇すること。懲戒解雇の場合退職金の減額や不支給などを定めることが多い。よほどの悪事を働いた場合で、他の懲戒処分を重ねたにもかかわらず改善が見られない場合などに限られる。

 

懲戒処分で重要なのは、従業員の行為に見合った処分を段階的に行うことでしょう。あくまでも教育的指導の域を出ていないかを注意してください。

十分な引継ぎをしない社員には退職金を支給しなくても良いか   [ 2014.07.09 ]

【引き継ぎ不足を理由とした退職金不支給は難しい】

退職金制度がある会社において退職金を支払わないためには、まず退職金規定に「○○という場合には不支給にするとの明示」があることが前提となります。そのうえで、退職金を不支給とする場合には、「会社に重大な不利益を及ぼす行為があった」と認められなければなりません。今回のように「十分な引継ぎをしなかった」ことは、会社に重大な不利益を及ぼす行為とまでは認められない為、不支給は無効となると思われます。

 

【減額は可能だが、その程度には制限がある】

退職金の減額は規定として定めておけば可能です。しかし、十分な引継ぎをしたかどうかは会社と社員で解釈が異なるため、判断が難しく、減額できたとしても10%程度までしか認められないでしょう。

 

【引き継ぎ期間】

期間の定めのない契約は、民法上原則として退職を申し出てから14日以上経過すれば退職が成立します。ということは、「退職申し出から14日後に退職されてしまうこと」を想定して、14日で引継ぎが完了するような引き継ぎマニュアルを整備しておく必要があるでしょう。

 

【退職前に有給休暇を消化したいと言われたら拒否は難しい】

一般常識的には1ヶ月から数か月の引き継ぎ期間を設けて引き継ぐべきでしょうが、感情的な対立などにより退職する場合にはうまく引継ぎができない場合も出てきます。例えば14日間の間に有給を取得したいと申し出があれば、会社側が拒否することは難しいでしょう。退職日まで無断欠勤した場合は、規定の定めがあれば退職金の減額を行うことが可能な場合もありあますが、引継ぎは行ってもらえません。

特定の社員にしか行えない作業が多い場合、引継ぎの量も多くなり、引継ぎが行えなかった場合の影響も大きくなります。代替要員でも作業が滞らないような業務体系を作っておくことが大切です。

音信不通の従業員への対処の仕方   [ 2014.07.02 ]

従業員の無断欠勤状態が続いた場合、会社として業務上はもちろん、給与や社会保険資格などの面でも取扱いに困ることになります。まず無断欠勤は許されないことをしっかりと教育すべきですが、無断欠勤者への対応として会社は以下の点を注意しましょう。

 

1、就業規則に無断欠勤に関する条文を規定すること

前提として、「無断欠勤が14日以上続いた時は、退職の意思があるものとして自然退職の扱いとする」などの文言を就業規則に定めておくと、当該日が経過したときにその規定に則って手続きをすすめることができます。

 

2、退職の意思確認をすること

従業員本人に、就業意思があるかの確認をしましょう。メールや電話、あるいは自宅訪問等、連絡がとれる可能性のある手段で行い、それを記録として残しておきます。

文書連絡であれば、「連絡が欲しい。このまま連絡がとれないと、自然退職として取扱いせざるをえない」等の内容にして、会社側が連絡を取ろうと試みた形跡を残しておくことが肝心です。それでも連絡がとれないようならば、事前に定めたルール(就業規則等)に則り、日数が経過したら自然退職として処理します。

ちなみに無断欠勤に対して「解雇」という取扱いをするのはできれば避けたいところです。解雇となると労働契約法などの規定による「解雇権濫用法理:合理的かつ社会通念上の相当性がない解雇は無効」に照らし合わせて妥当か否かを判断されることになり、万が一退職をめぐってトラブルになった場合、解雇の高いハードルが会社に不利に働く可能性があります。

 

3、給与の払い方

給与を本人の口座に振り込んでいるならば、給与支払日には口座に振り込みます。また、直接手渡しで行っている場合には、「○月○日に給与を支給するので、会社までとりにきてください」という内容の文書を送ると良いです。こちらで、会社は残りの給与を支払う意思があるのだと伝えることができます。

 

退職に関する取扱いはしばしばトラブルにつながりますので、慎重に行ってください。

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