社会保険労務士法人ティグレのお役立ちコラム

2014年10月

退職の申し出は撤回できるでしょうか   [ 2014.10.29 ]

自己都合や退職勧奨に応じるなどの理由で退職する場合、労働者側から何らかの意思表示をすることになります。例えば自己都合であれば①口頭または②書面(「退職願」や「退職届」)の提出という行為によって意思表示を行いますが、これらの意思表示は撤回できるのでしょうか。

 

退職することについて合意が「いつ」なされたか、がポイント

労働者側から退職の意思表示をする場合には、次の要素が正しく伝達される必要があります。

l  退職日

l  退職理由

l  当事者双方(会社と本人)の表示および意思表示の方向(だれから誰に向けて意思表示されたか)

 

退職の申し出をした時点では「労働者が(○○という条件で)退職したいので合意(承諾)してください」と一方的に意思表示をしたにすぎませんので、会社側が合意したことの意思表示をしなければ、原則としてはその意思表示を撤回することができると考えられます。

 

退職願などの「書面を受け取ったこと」がすなわち「会社側の合意」に当たるかどうかは個別のケースにより異なるでしょう。例えば社長や人事権を与えられている直属の上司が退職願を受け取り、口頭により「わかりました」「合意しました」と言ったならば、もはや撤回はできない可能性が高く、総務担当者が受領しただけの段階であれば「退職について合意がなされた」とはみなされにくいでしょう。

 

会社側の立場から考えた時、退職する・しないでトラブルになることを防ぐためには、退職の申し出に対して明確に合意や承諾の意思表示を行うことが重要です。

失業保険と基本手当の受給   [ 2014.10.22 ]

失業保険について

雇用保険に加入していた人(65歳未満)が、会社を辞めた際にもらえる「失業保険」と呼ばれているものは、正式には雇用保険の「基本手当」と言います。この基本手当をもらうには、下記の条件を満たしていることが必要です。

 

1、離職して、雇用保険の被保険者ではなくなっていること

2、失業していること

3、離職日以前の2年間に、賃金支払い基礎となった日が11日以上ある月が通算して12か月以上あること

 

上記2の失業とは、単に仕事を辞めただけではなく、「働く意思と能力」があり、仕事を探しているにも関わらず、仕事のない状態を言います。

基本手当を受給するためには、退職した会社から離職票を発行してもらい、住所地を管轄するハローワークで求職の申し込みを行う必要があります。

 

失業保険の金額

「基本手当日額」に、「所定給付日数」をかけて算出します。

「基本手当日額」とは、離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金合計を

180で割って算出した金額のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)の金額です。

「所定給付日数」とは、雇用保険に加入していた期間、年齢、離職理由等により決まる、「基本手当日額」をもらえる日数分のことを言います。

詳細な日数に関しては、ハローワークのHP等で確認できますので、ご覧ください。

 

基本手当を受給するためには、会社を辞める際に「離職票」を発行してもらっておくことが必要です。また、定期的にハローワークに通い、仕事探しを積極的に行う必要があります。次の就職先が決まるまでの生活保障として、有効活用してください。

従業員の有休取得を会社は拒否できるか   [ 2014.10.15 ]

有休の定義

有休とは「年次有給休暇」を省略した言葉です。一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことで、「有給」で休むことができる、すなわち取得しても賃金が減額されない休暇のことです。

 

有給休暇は下記の要件を満たせば従業員に発生する法的な権利です。

①    雇い入れてから6か月以上継続して勤務している。

②    前年1年間(雇い入れ後6か月の人はその6か月)の全労働日の8割以上出勤した。

 

有休にまつわる権限

有休については「労働者が取りたいときに取る権利=時季指定権」と「会社が有休を別日に変更する権利=時季変更権」があります。

 

時季指定権

有給を取得する日については、原則的に従業員が自由に選ぶことができます。この権利を「時季指定権」と言います。

 

時季変更権

従業員が指定した日にちが、事業の正常な運営を妨げる場合は、会社は有給の日にちを変更させることができます。この権利を「時季変更権」と言います。

この「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、多数の従業員が同じ時季に有休を取得することにより、人手不足で正常な業務ができなくなる場合等を言います。

ただし、慢性的な人手不足なのに、あえて人員の補充をしていない場合には、人手不足を理由に時季変更権を行使することは認められていません。

 

会社は、原則的には従業員からの有休取得の申出を断ることができません。

ただ、例外として繁忙期等に有給取得されると「事業の正常な運営を妨げる場合」は、前述の時季変更権が認められています。あくまで、時季を変更できるにとどまり、有休そのものをとらせないことができるわけではないので、間違えないようにしてください。

時季変更権を行使する際は、会社の事情をしっかり説明し、従業員に理解してもらった上で変更してもらうことが望ましいでしょう。

懲戒処分について   [ 2014.10.08 ]

◆就業規則に定めておく必要がある

懲戒処分を行うためには、あらかじめ就業規則に①懲戒事由と②懲戒処分の種類を定めていることが前提となります。

例えば、繰り返し遅刻または早退した場合(①懲戒事由)に、減給(②懲戒処分の種類)に処するなどの事柄を就業規則に明記しておかなければなりません。

 

◆二重処罰の禁止

懲戒には、1つの違反行為に対して1つの処分を下すという決まりがあり、同じ行為を2回懲戒処分にすることはできません。例えば、無断欠勤をした従業員に減給の懲戒処分を下した場合、さらに出勤停止という懲戒処分を下すことはできません。

 

◆段階的に処分を行っているか

従業員が懲戒事由に該当する事柄を行ったからといって、懲戒解雇にした場合、ほぼ認められません。なぜなら、懲戒解雇は最も重い処分であるため、「時間をかけてこれだけの指導をした」という客観的な理由を示せない限り、裁判所では有効とは判断してくれないからです。

問題を起こす従業員がいる場合には、軽い懲戒処分から始め、改善しないようなら次の重さの懲戒処分をという風に、段階的に処分を重くしていく必要があります。また、その過程を書面に記録しておくことも重要です。

 

◆本人の言い分を聞くこと

会社側は懲戒処分を下す前に、本人の言い分を聞く必要があります。方法としては口頭でも文書での提出でも、どちらでも構いません。

 

懲戒は、あくまで教育的な指導です。どういう行為をしたら懲戒処分に該当するのか、就業規則に定めておくことは必要ですが、処分を行うことを「目的」とせず、従業員を指導するための「手段」だと言うことを忘れないでください。

就業規則が有効であるための条件   [ 2014.10.01 ]

就業規則が有効であると会社が主張するためには、以下の点に特に注意する必要があります。

 

1、従業員に周知をしていること

2、その内容が合理的であること

 

「周知」という言葉の定義については「従業員が見ようと思ったら見ることができること」とされています。例えば次のような状態を指します。

l  常時事業場の見やすい場所に掲示してある、または誰もが手に取れる書棚に保管してある。

l  コピーが従業員に配布されている

l  会社のパソコンのデスクトップなどにワードデータが保存されている

 

「就業規則は従業員に配布しなければならないのか」という質問がありますが、労働基準法上の「周知」は配布までは義務付けていません。ただし、「周知がちゃんとされていたか否か」ということは労働問題が起きた時に争点になりやすいことも確かです。後になって「就業規則があることを知らなかった」という言い分に対抗できるように、会社としては慎重に就業規則周知方法を選択しなければなりません。

 

次に「合理的な内容であるか否か」についてですが、こちらは裁判所において判断することになります。内容が労働基準法を下回る場合は無効となりますが、そうでなければ合理性は争っている事案ごとにケースバイケースで決定されます。例えば、時代の流れに合わせて出張の日当を減額する就業規則変更を行った場合、その日当減額が「会社側の論理としては合理的」でも「客観的な財務状態や労働者の不利益の程度の面からみて合理性がない」と裁判所で判断されることもあります。

 

就業規則の周知方法、条文の合理性については、社会保険労務士などの専門家にアドバイスをもらうとよいでしょう。

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