社会保険労務士法人ティグレのお役立ちコラム

2016年3月

賃金直接払いの原則について   [ 2016.03.30 ]

賃金を受け取る時、会社と労働者との間に仲介人等が間に入ると、労働者に対する賃金が本人に渡らない可能性が出てきます。そこで労働者の「賃金をもらう権利」を守るために、この「直接払いの原則」が設けられています。

 

例えば労働者が未成年の場合など、親権者などの大人によってお金が消費され、本人の手に渡らないなどの問題が出てくるかもしれません。直接払いの原則はこのようなことを防ぐ目的があると言えるでしょう。

 

賃金の支払いにおいては,直接払いの原則により,親権者などの法定代理人はもとより,労働者の任意代理人に賃金を支払うことも禁止されています(ただし、労働者の妻に手渡すなど、単なる使者である場合、賃金債権者が税金の滞納などにより差し押さえ処分を受けた場合など、一部例外的に認められることもあります)。

 

ちなみに賃金をもらう権利(賃金債権)を債権譲渡することはできます。しかし,その場合であっても,使用者は労働者に対して賃金を直接支払わなければならないとされています。したがって、賃金はあくまで労働者本人に渡すものと心得ていた方がトラブルが少ないでしょう。

 

直接払いの原則に違反した場合

使用者が直接払いの原則に違反した場合,刑事罰としては,使用者は30万円以下の刑罰を科されます(労働基準法120条1号)。

 

賃金については、それがたいていの労働者にとって唯一の収入源であるため、それが本人の手に渡らないことがあればその人の生活が脅かされてしまいます。そのため厳しくルールが定められていると覚えてください。

傷病手当金と出産手当金のルールの変更について   [ 2016.03.23 ]

傷病手当金と出産手当金は、私傷病や出産によって働けない場合に出る休業保障の給付ですが、その支給のもとになる標準報酬月額の決定方法について見直しが検討されていました。これについて、「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」が改正され、変更されることが決定しました。

 

新しいルールは以下の通りです。

 

1、給付の日額計算の変更

今までは、休業開始時点での標準報酬月額÷30×3分の2という式で給付の日額を決定していましたが、平成28年4月からは「支給を始める日(以下「支給開始日」という)の属する月以前の直近の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する額」に変わります。

 

 

2、改正の年月日

平成28年4月1日以降の支給金額が対象

 

 

これは、手当の額を大きくするために、意図的に一時給与を引き上げるという不正が一部で見られたためです。

 

つまり、本来は20万円くらいの給与をもらっていた人が、妊娠を機に一時的に30万円まで給与を上げて、30万円をもとにした出産手当金をもらうなどといったことができないようにするための改正であるということです。

 

標準報酬月額が定められている月が12ヶ月に満たない場合は、支給開始日以前の直近の継続した各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額または支給開始日の属する年度の前年度の930日における全被保険者の標準報酬月額を平均した30分の1に相当する額のいずれか少ない額の3分の2に相当する額になります。

 

いままでより実態に近い支給額になりますが、「いくら支給されるか」ということが休業してみるまでわかりにくくもなります。休む被保険者への説明は手間のかかるものになりそうです。

賃金構造基本統計調査について   [ 2016.03.16 ]

賃金構造基本統計調査とは、主要産業に雇用される労働者について、その賃金の実態を労働者の雇用形態、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数及び経験年数別に明らかにすることを目的として、毎年6月(一部は前年1年間)の状況を調べる調査です。

ランダムに当たった事業所に調査用紙が届き、6月30日現在の状況を報告します。

 

調査結果の利用方法

調査結果は民間企業における賃金決定等の資料として広く利用されているほか、損害賠償請求訴訟における逸失利益の算定、最低賃金の決定、労災保険法の年金給付基礎日額の最低及び最高限度額の算定資料などに活用されています。

 

調査に答える義務はあるか

調査対象として指定された場合、答える義務があります。

この調査は、統計法に基づく「基幹統計」に指定されています。統計法第13条では、国の重要な統計調査である基幹統計調査について、「個人又は法人その他の団体に対し報告を求めることができる」と規定しています(報告義務)。また、同法第61条では、「報告を拒み、又は虚偽の報告をした者」に対して、「50万円以下の罰金に処する」と規定しています。

 

どの会社が調査に当たるか

主要産業に属する5人以上の民営事業所及び10人以上の公営事業所とそれらの事業所に雇用されている労働者を調査の対象として、事業所が所在する都道府県労働局又は労働基準監督署を通じて行っています。

 

解雇の意思表示の撤回は認められるか   [ 2016.03.09 ]

一旦解雇の通告をした後で、会社側の事情によりそれを撤回することができるでしょうか。

 

結論を先に言うと、一旦解雇を言い渡してしまうと、労働者からの同意がなければ撤回できません。「お前は明日から来なくていい!」と言うなど、解雇予告手続を踏んでいない解雇に対して、労働者は①解雇無効だから在籍していると主張する②解雇有効を前提としての予告手当支払いを求める、のどちらかを選べることになります。

 

なぜ解雇を撤回したいのか

解雇撤回の主な理由は金銭的なものでしょう。労働者に即時解雇を通告した後、労働者から解雇予告手当を請求されると(お金を払いたくないなどの理由で)即時解雇を撤回し、合意退職などの交渉をする場合があります。最近では、国からの助成金をもらっている関係で、いったん提示した「解雇」を白紙に戻したいと申し出るケースも増えています(多くの助成金では「解雇を一定期間行っていないこと」が受給要件となっている)。

 しかし、解雇とは本来一方的に会社が解約を言うわけですから、労働者に到達した時点で効力が発生します。つまり、原則として労働者の同意がない限り、撤回することはできません。労働者側の立場で言うと、会社のさじ加減で一方的に解雇や撤回が認められていては労働者が不利になるため、労働者が「自由に同意できる環境下で」撤回に応じた場合にのみ解雇の撤回ができるとされます。

一旦「解雇」と口に出してしまうと、それは取り消せないばかりか、もっと大きなトラブルに発展することがあります。会社側は十分慎重に事を進めなければなりません。

始末書のポイント   [ 2016.03.02 ]

社員がミスをして会社に何らかの損害を与えた場合、ペナルティー(懲戒)の一環として始末書を提出させることがあります。

この始末書の意義と、作成のポイントについて考えてみましょう。

 

始末書の意義

始末書は、本人に自らの態度を振り返り「勤務態度を改善して欲しい」がために書いてもらうものですが、「正当な懲戒処分であるという証拠」という意味も持ちます。

遅刻や欠勤など度重なる事実があったとしても、それがどの程度あったのか?本人はどのように反省しているのか?会社としては改善のために手を尽しているのか?そうした客観的な証拠、記録をする点で意義があります。

 

作成のポイント

前述の意義から考えると、作成を促す際には以下のポイントに注意しましょう。

 

・ミスの具体的事実が書かれてあること(5W1H=誰が、いつ、どこで、何を、どんなふうに、なぜ起きたかが明らかになっていること)

 

・改善策、再発防止のアイデアが具体的に書かれていること(例えば遅刻が多いというミスの場合、通勤電車の乗車時間を15分早めるなど)

 

・再発防止のアイデアについて、直属の上司のアドバイスを受けること(再発防止の方法について、上司とも話し合ったという状態を作り、改善に巻き込む)

 

始末書の保管方法

始末書は人事関連の書類、特に当人の履歴書や労働者名簿などの属人情報と一緒に、あるいは人事考課関係の書類と一緒に保管しておくとよいでしょう。

 

始末書はあくまでも同じミスを繰り返させないために書かせるものですから、会社はその意義をしっかり伝えていくことが肝心です。

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