社会保険労務士法人ティグレのお役立ちコラム

2019年4月

監視または断続的労働従事者の取扱について②   [ 2019.04.24 ]

監視または断続的労働従事者とは?なぜ適用除外されるのか?
通常労働基準法は労働者を保護するために、労働条件の最低限度を設けております。ただし、労働基準法41条によれば、法41条該当者に対しては、労働時間・休憩・休日の規定を適用ないと規定しております。
この適用除外対象労働者として、「監視又は断続的労働に従事する者で,使用者が行政官庁の許可を受けたもの」が定められています。
「監視又は断続的労働に従事する者」の具体例ですが、
「監視」業務とは、しては、門番、守衛など
「断続的業務」とは寮父母や宿直・日直・役員専属運転手などが挙げられます。

上記の職種がなぜ適用除外の対象となるかといいますと、上記の労働者の労働は、
通常の労働と比較して、常態として身体の疲労又は精神的緊張が少ないもしくは小さいためと解釈されます。
したがって、身体疲労や精神的緊張度の高い業務が含まれる場合は適用除外の対象外となります。
具体的には、「監視」業務の場合に交通関係の監視業務や爆発物管理等危険な場所での監視業務などは、身体の危険性や精神的緊張度は高いと認められ、法41条該当者には当たらない、とされています。また、「断続的労働」業務の場合、ある1日は断続的労働であっても、ほかの日は通常労働である場合には、適用除外である断続的労働者には該当されません。

労働基準監督署に届け出る方法について
監視または断続的労働従事者に該当する社員がいた場合、労働基準監督署長の許可が必要であることは前述したとおりですが、具体的にはどのような手続きが必要でしょうか?
労働基準監督署に提出する必要がある書類として、
・監視・断続的労働に従事する者に対する適用除外許可申請書
・該当労働者の過去の稼働実績が確認できる書類

が挙げられます。

この稼働実績の書類ですが、単に業務内容がわかるものでは足りず、具体的なルーティン、日々のルーティンがわかる書類が必要です。
稼働実績の書類が不十分である場合、補足資料として労働者の雇用契約書や同意書等が求められる場合もございますので、あらかじめ用意しておくと安心でしょう。

なお、実際の審査につきましては、書類審査の他、労働基準監督署より実態調査(労働者に対して簡単な聞き取り調査)が入ることが一般的になりますので、予め、対象労働者との日程調整を行う必要があります。

断続的労働従事者の取扱について①   [ 2019.04.17 ]

警備員、宿直や専属運転手には残業代を支払わなくてよいか?

警備員、宿直や役員専属運転手など、拘束時間は長いものの、実際の労働時間は長く継続することなく、一作業(巡回や送迎)を終えると、待機(手待ち時間)し再び労働をする、といった場合、企業は労働者の労働時間についてどのように判断すればよろしいでしょうか?
実際に、待機時間(手待ち時間)もすべて労働時間とすると、時間外労働が膨大に増えることが予想され、残業代の負担も併せて気になさる方も多いでしょう。

行政官庁の許可を受ければ、労働基準法の「労働時間・休憩時間・休日」の規定を除外できる

結論から言いますと、宿直や専属運転手等の場合、労働基準監督署に許可を受けることで、労働時間・休憩時間・休日の規定を適用除外とすることが出来ます。
通常、労働者は1日8時間、週40時間を超えて労働した場合には割増賃金(残業代)が発生しますが、労働基準監督署に許可を受けることで、たとえ、時間外労働をしたとしても、残業代を支払う必要がなくなります。また、休日規定も除外されるので、休日労働に対する割増賃金の支払いも必要がなくなります。(ただし、深夜業・年次有給規定は適用されますのでのでご注意ください。深夜業の残業代は必要となります。)

転籍は拒否できるか?   [ 2019.04.10 ]

転籍は拒否できるか?
子会社に転籍をさせたい従業員がいた場合、会社は無条件に社員に対し、転籍命令を出せるでしょうか?従業員が拒否した場合にはどうなるでしょうか?
転籍とは
転籍とは、従来雇用関係のあった会社との労働契約を終了し、新たなに別の会社と労働契約を結びなおすことが同時に行われることを言います。

転籍は本人の同意が必要

「転籍」を命じる場合、法律上は労働者の同意(承諾)なくして別の会社の指揮命令下
のもと働かせることは出来ない、とされています。(根拠:民法625条)
就業規則、労働契約等で「転籍」に関する規定があったとしても、本人の個別の同意がない限り転籍をさせることが出来ないというのが、裁判所の見解です。
転籍には労働者個別の同意が必要、というのが大原則となります。
これはあくまでも、転籍は移転先との労働契約の成立を前提とするため、元の会社が規則等により定めていても、労働者は元の会社の規則で制限することは出来ず、元の会社規則等を根拠に転籍を命じることができない、という理論になります。

労働者本人の同意が得られない場合は?
上記はあくまでも原則論になります。原則としては個別の同意が必要となりますが、以下の条件を満たす場合には個別の同意を必要としない、とされています。
① 親会社の入社案内に子会社が勤務地の1つして明示され、
② 採用面接時に転籍があり得る旨の説明、労働者がそれに同意、
③ 更に転籍によって労働条件が不利益にならず
④ 転籍といっても、実質的には親会社の一部門として扱われており、永年転籍も配転と同様に扱われてきた
上記要件を全て満たす場合には、個別の同意なく、転籍を命ずることが出来ると過去に認められた判例があります。

グループ会社であり、グループ内における雇用調整のための転籍が慣習的に定着している場合には、例外的に認められるケース場合があります。

ただし、この場合でも、転籍後の労働条件の保障は特に重要な要素となりますので、注意が必要です。

まとめ

「転籍」を命令する場合、原則としては労働者の同意が必要不可欠です。同意が得られないまま、勝手に転籍をさせることは出来ません。
例外的に同意を必要としない場合もありますが、認められる余地は非常に小さいです。
実際に「転籍」命令の同意を得られなかった場合には、従業員との労働条件の擦り合わせをし、同意をもらう方向性に話し合いをする、もしくは出向や配転など別形態での人事異動を模索することになるでしょう。

年金分割③   [ 2019.04.03 ]

実際の年金分割の流れについて

前回まで、概要、相違点等2回に分けて説明してきました。
年金分割のうち、合意分割、3号分割をどのように使い、どこに注意するかお分かりになったかと思いますが、
実際どのように計算すればいいか混乱するケースもあるかと思います。

・3号分割のみの婚姻期間で形成されている場合
・合意分割のみの婚姻期間で形成されている場合

この2ケースにおいては考え方は非常に明確ですが、3号分割の期間と合意分割の期間が混在する場合、どのように考えればいいのでしょうか?

結論としては結果は合意分割の結果と変わらない、ということになります。

3号分割と合意分割の期間が混在する場合、手続き上先に3号分割があったものとみなし、その後合意分割の手続きに移行します。

3号分割の結果、それぞれの標準報酬総額が異なったとしても、その結果を合意分割の按分割合に再分配するので、はじめから合意分割をした結果と変わらなくなります。
つまるところ、合意分割で請求した按分割合に必ず落ち着くのです。

文章のみですと、イメージしにくいので、実際の例で考えてみましょう。

事例
ある夫婦の合意分割の按分割合を45%、婚姻期間5年、夫の標準報酬総額3000万円、妻の標準報酬月額を1000万円、夫婦総額4000万円とする。

合意分割のみの期間の場合
合意分割前の割合は、夫が3000万÷4000万=0.75 すなわち75%、妻が25%ととなります。
按分割合の請求は妻45%と仮定しましたので、夫55%になるよう調整が必要となります。夫の総額は4000万×55%により、2200万円となります。分割前は3000万円でしたので、800万円を妻に移す必要があります。

3号分割と混在する場合
離婚前の2年を3号分割と仮定し、その間夫の標準報酬総額が1200万円だったとします。
4年間1800万円、2年間1200万円、妻の標準報酬月額が4年間1000万円、2年間0円になります。

年金分割前の割合に関しては、合意分割同様、夫75%、妻25%となります。
3号分割が含まれる場合は、先に分割を行いますので、まず1200万円の50%すなわち、600万円を妻に移行します。したがって、夫の総額は1800万円+600万円=2400万円、妻は1000万円+600万円=1600万円になります。(夫60%、妻40%になり合意分割をする上での下限が40%に引きあがります。)

この状態からさらに合意分割で定めた按分割合にて再計算することになります。妻が45%、夫が55%になるためには200万円の記録を妻に移行することが必要になります。

結果的には、夫の標準報酬総額が2200万円、妻の標準報酬総額が1800万円となり、合意分割のみのパターン同様となります。

以上が実際年金分割を行った場合の計算方法の基本的な考えとなります。
標準報酬総額の計算等は複雑ですが、実際の手続きの際には、「年金分割のための情報通知書」を請求することが出来ます。

3号分割を踏まえた正確な年金額を把握するためには、情報通知書での確認も併せて必要となるでしょう。

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