社会保険労務士法人ティグレのお役立ちコラム

2020年5月

脱退一時金について   [ 2020.05.27 ]

脱退一時金とは、日本の年金制度(国民年金・厚生年金)に加入(納付済み)した期間が6ヶ月以上ある外国人(日本の国籍を有しない)が受給資格要件(10年間の年金加入)を満たさないまま年金を受け取ることが出来ない場合で、帰国(一時帰国等、日本国内に住所を有する場合※は除く)した際に国民年金保険料を納付した又は厚生年金の加入期間に応じてそれぞれ一時金を受けることが出来る制度です。

 

【脱退一時金の支給額】

  • 国民年金保険料を納付していた場合

国民年金保険料の脱退一時金の支給額は、国民年金保険料を納めた期間に応じて支給されることとなります。脱退一時金の支給額は最後に保険料を納付した月の属する年度により、支給額が異なります。

最後に納付した保険料が令和2年度であった場合は以下の通りです。

保険料納付済期間

受給金額

6ヶ月以上12ヵ月未満

49,620円

12ヵ月以上18ヵ月未満

99,240円

18ヵ月以上24ヵ月未満

148,860円

24ヵ月以上30ヵ月未満

198,480円

30ヵ月以上36ヵ月未満

248,100円

36ヵ月以上

297,720円

(参照:日本年金機構より)

  • 厚生年金保険に加入していた場合

脱退一時金の支給金額は以下の計算式で算出されます。

被保険者であった期間の平均標準報酬額×支給率

支給率ですが、加入期間の最終月(資格喪失月の前月)の前年の10月(最終月が1~8月の場合前々年の10月の保険料率)の保険料率に2分の1に乗じた保険料率に以下の表の数を掛けるものをいいます。

 

保険料納付済期間

掛ける数

6ヶ月以上12ヵ月未満

6

12ヵ月以上18ヵ月未満

12

18ヵ月以上24ヵ月未満

18

24ヵ月以上30ヵ月未満

24

30ヵ月以上36ヵ月未満

30

36ヵ月以上

36

(参照:日本年金機構より)

 

保険料率は年度によって変更される場合があるので、申請の際は必ず確認するようにしてください。

 

【申請期限】

最後に日本に住所を有しなくなってから2年以内

 

脱退一時金は制度上あまり、浸透していない場合もあり、外国人労働者に説明が難しい場合もあります。日本年金機構より、各国の言語の申請書もダウンロードできます。

支給金額も年度ごとに異なる場合がありますので、都度確認することが必要でしょう。

ワーキングホリデーで滞在する外国人の保険加入についての取扱い   [ 2020.05.20 ]

ワーキングホリデーの外国人を雇い入れる場合の保険手続きについてはどのように考えればいいのでしょうか?

 

雇用保険について

ワーキングホリデーで入国した場合、来日目的が「就労」ではなく、「休暇」になります。「休暇」であるため、雇用期間や労働時間等に関わらず、雇用保険の適用除外となります。ただし、その際でも外国人雇用届出書の提出は必要となりますので、ご注意ください。

 

社会保険について

一方、社会保険の場合、通常通り、他の従業員同様、一定の要件を充足した場合には原則的には社会保険の加入義務が生じてきます。

ただし、例外的に、外国人労働者の国籍の国と日本との間で社会保障協定が締結されている場合、日本の社会保障制度への加入が免除される場合があります。

※社会保障協定とは、「保険料の二重負担」(二重加入の防止)および「年金加入期間の通算」を目的とした協定です。

 日本との協定発効済み国は20か国ですが、協定によっては「保険料二重負担防止」のみ締結されている場合もあり確認が必要となります。

 

また、社会保険に加入し、年金の受給資格を得ないまま、帰国した場合でも完全に掛け捨てとなるわけではございません。

脱退一時金を申請できる場合があります。

脱退一時金については次回ご紹介いたします。

健康診断後の医師などの意見徴収について   [ 2020.05.06 ]

会社は、会社が行う健康診断の結果、異常の所見があると診断された労働者について、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について聴取した医師又は歯科医師の意見を十分勘案し、必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少、昼間勤務への転換等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備、当該医師等の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講ずる必要があります。

 

意見の内容

もらうべき意見の内容は次の2つです。

 

1、就業区分及び就業上の措置の内容

2、作業環境管理・作業管理について

 

1の就業区分とは、「通常勤務(通常の勤務でよいもの)」「就業制限(勤務に制限を加える必要のあるもの)」「要休業(勤務を休む必要のあるもの)」に分かれます。

就業上の措置とは、勤務による負荷を軽減するための、⑴労働時間の短縮、⑵出張の制限、⑶時間外労働の制限、⑷労働負荷の制限 、⑸作業の転換、⑹就業場所の変更、⑺深夜業の回数の減少、⑻昼間勤務への転換等を指します。

 

2について、健康診断の結果、作業環境管理及び作業管理を見直す必要がある場合には、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置・整備、作業方法の改善、その他適切な措置について意見を求めることとされています。

 

 

関連条文

◆労働安全衛生規則

(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)

 

第五十一条の二  

第四十三条等の健康診断の結果に基づく法第六十六条の四の規定による医師又は歯科医師からの意見聴取は、次に定めるところにより行わなければならない。

 

 一  第四十三条等の健康診断が行われた日(法第六十六条第五項ただし書の場合にあっては、当該労働者が健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出した日)から三月以内に行うこと。

二  聴取した医師又は歯科医師の意見を健康診断個人票に記載すること。

 

2 法第六十六条の二の自ら受けた健康診断の結果に基づく法第六十六条の四の規定による医師からの意見聴取は、次の定めるところにより行わなければならない。

一 当該健康診断の結果を証明する書面が事業者に提出された日から二月以内に行うこと。

二 聴取した医師の意見を健康診断個人票に記載すること。

 

3 事業者は、医師又は歯科医師から、前二項の意見聴取を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を求められたときは、速やかに、これを提供しなければならない。

新型コロナウイルス感染時の傷病手当金受給について   [ 2020.05.01 ]

感染症で会社を休んだ場合、健康保険の傷病手当金を受給できるかについて、厚生労働省よりQ&A方式で健康保険組合等へ連絡がされました。いくつかピックアップしてご紹介します。

 

【Q1】 被保険者が新型コロナウイルス感染症に感染しており、療養のため労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。

【A】 被保険者が業務災害以外の理由により新型コロナウイルス感染症に感染してい

る場合には、他の疾病に罹患している場合と同様に、療養のため労務に服すること

ができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができ

ない期間、直近 12 か月の標準報酬月額を平均した額の 30 分の1に相当する額の3

分の2に相当する金額を、傷病手当金として支給することとなる。

 

【Q2】被保険者には自覚症状はないものの、検査の結果、「新型コロナウイルス陽性」と判定され、療養のため労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。

【A】傷病手当金の対象となりうる。

 

【Q3】被保険者が発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っており、療養のため労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。

【A】傷病手当金の対象となりうる。

 

【Q5】発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っていた方が、休職して4日目以降に帰国者・接触者相談センターに相談したものの、体調悪化等によりその日には医療機関を受診できず、結果として、その翌日以降、医療機関を受診せずに病状の改善が見られた場合には、傷病手当金は支給されるのか。支給される場合、医師の意見書を添付することができないが、何をもって労務不能な期間を判断するのか。

【A】傷病手当金の支給対象となりうる。

本問のように、医療機関への受診を行うことができず、医師の意見書を添付でき

ない場合には、支給申請書にその旨を記載するとともに、事業主からの当該期間、

被保険者が療養のため労務に服さなかった旨を証明する書類を添付すること等に

より、保険者において労務不能と認められる場合、傷病手当金を支給する扱いとす

る。

 

傷病手当金の申請として、通常時と大きく違うのはQ5におけるA医師の意見書の添付が無くても受給対象になりうる点かと思います。

 詳細は以下よりご確認くださいませ。

 

新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A

https://www.mhlw.go.jp/content/000604969.pdf

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